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開催日時2009/5/15
WorkShop名/会場ゆび筆の実践報告 "A君とゆび筆の出会い" 松崎としよ先生
場 所大阪市立日吉小学校
報告書指筆の実践報告
○ 対象児童
 ジュペール症候群の3年生児童(男児A)。足をはじめ、指・腕など全身の筋肉に力が入らず、歩行は車いす。食事はスプーンやフォークなどに、医療機関で作成した補助器具を差し込んで、握って食事するようにしている。鉛筆などの使用も同様である。絵筆は握った状態で使用している。
○ 経緯
 ・2年前、指筆の試作品を初めて使用。本商品を使用した感想や、指筆を使用して書いた作品を提出した。
 ・今回2年の歳月をかけて指筆の開発に取り組んでこられた墨運堂さんのことを聞き、保護者も非常に感動された。運動機能のトレーニングに幼少期からかよっているが、その施設(あさしお園)においても、保護者から指筆の話を聞き、研修会を開き、現在、今回の指筆を試してもらっている。
 線描の基本練習の後、それを生かして、習字にも取り組んだ。10月には、特別支援学級で育てたサツマイモを描いた。A君は本当にうれしそうな表情で一気に描いた。指の延長の感覚が得られるからこそ生まれる活動であったと感じた。ハンディを補う用具との出会いで、今まで諦めていた活動ができるようになる。その結果、表現の喜びを体感し、その充足感がさらなる意欲を喚起する様子を、A君の笑顔を通して目の当たりにした。今後もゆび筆による表現を十分に楽しませたいと考えている。最後に、用具開発など、社会の支援も大きいと考える。ゆび筆がA君に留まらず、筆を持つことが困難な児童の助けになればと願っている。
 指筆との出会いは、A君はもちろん、私自身にも大きな変化をもたらした。ハンディを補う用具との出会いで、今まで諦めていた活動ができるようになる。その結果、表現の喜びを体感し、その充足感がさらなる意欲を喚起する様子を、A君の笑顔を通して目の当たりにした。そしてそれは、もっとこんな体験をさせてあげたいという指導者の夢にも繋がった。指筆が君のとびっきりの笑顔を生み、それが明日の夢を作りだしてゆく。本実践は、保護者の支援並びに教材開発等、社会の支援があったことが大きいと考える。指筆がA君に留まらず、筆を持つことが困難な児童の助けになればと願っている。 また今後とも、このような教材開発を望みたい。
絵筆を持つA君 指筆で線描するA君 @絵筆を握って描いた線(4/10)
A初めて指筆で描いた線(4/10) Bゆび筆で描いた多様な線(4/13) Cゆび筆で描いた太さの違う線(4/20)
D育てたサツマイモを描く(10/21) E指筆で書き初め(8/19) 「障害のある子どもに学ぶ」図工展