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開催日時2009/09/14
WorkShop名/会場大学卒業論文研究のため。題目は「新しい筆記具の開発について」
場 所愛媛大学教育学部学校 教育教員養成課程 国語専修4回生
「ゆび筆」の試作品、興味深く拝見させて頂きました。
使った時の感想: まず「ゆび筆」の試作品をお送りいただき、本当にありがとうございました。御社のHPで「ゆび筆」の記事を拝見してから、いったいどんな構造でどんな書き味なのだろうと想像を膨らませておりましたが、実物を見て期待以上の素
晴らしさに感動いたしました。多くの「いいなと思った点」また「こうしたらいいのではと思った点」を感じたので、一学生の意見として見て頂けると幸いです。 「いいなと思った点」の
 1つめは、フィット感でした。これだけ指に密着で きる機構には驚かされました。これなら毛の流れを実際の筆と同様に使うこと ができ、筆の練習にもなります。それにこのリングはカラフルで、着けること自体に楽しさを感じました。

 2つめは、外形のよさでした。指にはめて使うのがデフォルトだとは思うの ですが、これは短い筆としても持つことでき、そうすることで「一粒で二度美味しい」気分を味わうことができました。小学校などで書道用の教具として使 うことを考えると、指から軸への移行も兼ねた画期的なものになるのでは、と思います。

 3つめに、発想の良さが使用者に与える影響です。この「ゆび筆」は、使う だけでも想像力を喚起する力があるように私は感じました。パッケージに「指 で描く新しい発見」とありますが、本当にその通りだと思います。良いアイデ アは次のアイデアを呼ぶものだと信じております。

 4つめは、筆圧の感覚です。「ゆび筆」の一番の長所がその筆圧感覚ではない かと私は思っています。指でじかに押さえつけることで、どのくらいの圧力で書けば望みの太さの線が書けるのかが凄くよく分かります。この圧力を感じるということについて、うまくできていないということが小学校現場の低学年に よく問題に見られるように思います。というのも、子どもが上手な字を書くに あたって線の太さや「とめ」「はらい」などの「力を調節すること」が不可欠だからです。筆を半紙につけて感じる反発力というものを、この「ゆび筆」は何倍も分かりやすく使用者に伝えてくれます。

 「こうしたらいいのではと思った点」に、筆の根元と指先の距離の短縮があります。約1センチのこの距離を縮めることがとても難しいとは思われますが、1ミリでも指に近づくことで、より直感的な書き味を実現できると思われます。
 もう一点、筆先に少し角度があったほうが使いやすくなるのではないかなと感じました。イメージとしては装着した指の関節が1つ増えるようなものです。指は握る動きが主となるものなので、握る力を利用して書くことで、より自然で楽に書くことができるのではないでしょうか。 また、残りの4本の指の置き所が、意識をすると分からなくなるという感覚を味わうこともありました。同学部の友人の話では、子どもの頃に筆を持つときの小指が開いてしまって困ってしまった、ということでした。「ゆび筆」を使うことで持ち方が自由になる反面、変わった持ち方が定着してしまい「ゆび筆」でない筆記具を使う際の障害になってしまうことも、もしかするとあるかもしれません。そうならないような持ち方を推奨していくことが必要にもなってくるでしょう。

 使用感に関するところで、リングを深くはめこんで書くので長時間の使用には少しつらいとも思えました。血が止まってしまう感覚があって、どこまで書き続けるかは使用者が判断しないといけないのですが、指に負担を掛け過ぎていないか少し不安になります。ベルトもしくはゴムのリングを使ってみるのはどうでしょうか。
 最後に、大学の研究室で私も新しい筆の製作を行っています。「子どもたちが筆に親しめる筆」「書きやすい筆」といったコンセプトを立てようと考えていますが、この「ゆび筆」の実用性・汎用性はとても勉強になりました。今、多くの子どもたちは筆を持つことを「特別なこと」「難しいこと」と感じています。夏休みの宿題の読書感想文が敬遠されるように、新年最初の書初めの宿題を面倒くさがっていた自分には、その気持ちが良く分かります。「ゆび筆」は「筆で書く」という行為にこびりついたマイナスイメージを取り払う可能性を持った素晴らしい筆記具ではないでしょうか。この「ゆび筆」が広く皆に使われることを願っています。ありがとう御座いました。