墨の造り方 (液体墨)
墨運堂の液体墨は、固形墨に近づける墨液造りのために、固形墨造りのノウハウを生かし、墨造りの最重要工程である「煤と膠」を均質に練る「混練工程」を加えて造っています。この工程のために生産量は少くなり、熟成の段階で沈殿物除去という工程も増えます。しかしあえて手間暇かかる工程を採用するのも、固形墨に近づける液体墨を目指しているためです。墨運堂の液体墨には長年の固形墨造りの技術が生かされています。
※ 墨液の原料 : 煤(スス)…固形墨用の煤 糊剤… 天然膠、合成糊剤
1, 原料計量
製品ごとに決められた配合表を元に計量し、投入します。
2, 糊剤溶解
糊剤を二重釜で溶解する。
![原料計量](../images/make/image09.jpg)
3, 混練
糊剤と煤を均質に練って半ペースト状にします。丹念に練り込むことで糊で煤を包み込み煤と煤が凝集できないようにして、同時に水に馴染むようにします。
![混練](../images/make/image10.jpg)
本来、「水と煤」は混ざらないものですが、煤を糊剤で包み込むことで水に馴染むようになります。墨の特徴を活かすために、この工程には特に注意を払い入念に行っています。
4, ペースト化
練り上がった墨の玉に水を少量づつ加えて段階的にキメ細かなペースト状にしていきます。
![ペースト化](../images/make/image13.jpg)
5, 分散・希釈
既定の濃度まで水を加え、徐々に液化させます。高速撹拌によるせん断力が加わり混練した煤粒子が均質に分散されます。(墨液の種類は濃度で、普通濃度・中濃・濃墨・超濃と順に濃くなる表示ですが、 製造工程中では濃い状態から薄めていきます)
<粘度と濃度>
粘度:運筆の軽重に関係して書き易さに関係します。
濃度:液中に含まれる煤の量は墨の濃さ表現の大切な部分です。
![分散・希釈](../images/make/image14.jpg)
6, 検査・調整
希釈後の墨液が製品規格値に収まっているか検査し次の工程に進みます。一部をサンプルとして抽出保管しその後の経年変化をチェックします。
![検査・調整](../images/make/image15.jpg)
7, 充填
![充填](../images/make/image16.jpg)
熟成完了した墨液をボトルに充填。
8, 製品ラベリング
![製品リング](../images/make/image17.jpg)
9, シュリンク
![シュリンク](../images/make/image18.jpg)
墨液を1本ずつ収縮フィルムで包装
10, 検品・包装・梱包・出荷
![検品・包装・梱包・出荷](../images/make/image19.jpg)
![各種墨液の完成品](../images/make/image20.jpg)