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(株)墨運堂のホームページをリニューアルしました。

2016年11月2日 水曜日

(株)墨運堂のオフィシャル・ホームページをリニューアルいたしました。
今後とも引き続き、(株)墨運堂をよろしくお願いいたします。

固めをつぶさない、洗い水の最も少ない環境汚染に配慮した洗い方をお話しします

2016年9月26日 月曜日

まず硯の中に残った墨を筆で吸い取り、書き損じの和紙か新聞紙に吸い取らせます。

この時、紙で筆を拭うのでは無くて、丸でも線でも結構ですが普段字を書く要領で吸い取らせます。

次にその筆が吸い取れる水の量(2~3cc)を硯に入れ、硯全体を筆で柔らかく洗い紙に吸い取らせます。

この作業を6回繰り返しますと濃さは1/64となり硯にも筆にも炭素や膠・合成樹脂の残りはわずかになります。

その後コップ半分程度の水で先に筆を振り洗いし、残り水で硯を洗いますと完了です。後は良く水切りし乾燥させることです。

牛乳ビン半分程度の水で完了し廃液も少なく、腰砕けも無くそれ以上に10倍も20倍も筆の寿命が延びるのです。

それだけではありません、この間に逆毛等も抜け、筆が練れてくると言うのでしょうか、新筆では味わえない手になじんだ手放すことのできない道具になります。

時間も10分程度で終わり、毎回気持ちの良い硯と筆を使えるのですから精神面でも良いはずです。

墨屋は毎日数多くの筆を使いますので、しかも淡墨の試験が多いものですから筆洗いが非常に大切ですし、一本の筆を穂先の毛が無くなるまで5年も6年も使います。

学校や塾でもこの筆洗いの方法を子供さん達に教えて戴けましたら、環境問題の実践教育になりますし、道具を大切に使う教育にもなり経済的です。

最近学校で行き過ぎた環境重視のため筆を洗わせずに、ビニールで穂首を包んで持ち帰らせ家庭で洗わせたり、次の授業までそのまま書道箱の中に入れておくなどして、カビが生えたり毛が折れる事故が多くなっています。

ひどいのは次の授業まで穂首が乾かないような液体墨を造れとの依頼も参ります。私はお習字がうまくなる大きな条件は道具を正しく使うことから始まると思いますが、いかがでしょう。

もう一つ面白いことは、この筆洗いの6段階の墨色を適当な和紙に書き、墨の名前・日付を控えておきますとその墨の個性が解ります。

また、年毎に書いておきますと墨の経年変化がつかめ、立派なご自分だけの色見本ができますし新たに墨をお買い求めになる時の目安になり業者へのご要望も具体的になります。

是非お試し戴きたいと思います。

使用後の筆は洗った方が良いのですか。

2016年9月26日 月曜日

固形墨であれ、液体墨であれ、筆は洗わなければいけません。固形墨の原料は膠です。洗わないということは、筆で宿墨造りをしていることですし、空気中から細菌を拾い培養していることです。膠の乾燥皮膜は固くて割れ易いものですから、筆の毛に墨が固着しますと、毛が折れ易くなります。特に夏場は筆についた細菌が磨墨液の中に混入し爆発的に繁殖する危険があります。膠を原料とした液体墨では塩分を多量に使用していますので常に湿気の多い状態になり、毛の脱脂、軸の膨張、抜け毛の多発の原因になります。合成糊剤を原料とした液体墨は、その乾燥皮膜が柔軟なため一度乾くと膠に比べ水に溶けにくく、無理をすると穂首を折ることがあります。筆の後ろに紐がついているのは使用後はきれいに洗って、よく乾燥して下さいと言うことです。筆を洗い過ぎると油が抜けて書きにくくなるとか、腰が砕けるとか、時には環境汚染になると言って子供に筆を洗わせない学校もあるように聞いております。墨屋は毎日試験のため何十本もの筆を使います。それも淡墨から濃墨まで試験しますので筆は完全に墨気が無くなるまで洗わなければなりません。洗わないより洗った方が何倍も筆の寿命が延び、手になじんだ筆は毛先を使い切っても捨てられないほど愛着がでて参ります。

液体墨は筆を痛めるのではないか。

2016年9月26日 月曜日

固形墨も液体墨も使用後洗わなければ筆の寿命を縮めることに変わりはありません。固形墨の原料は膠ですし、膠使用の液体墨はゲル化を止めるために、そして加水分解を遅らせるために多量の塩分を使います。合成糊剤製の液体墨は筆を痛める物はありませんが、壊れやすい皮膜の膠と異なり弾力性のある皮膜を作りますので一度乾くと戻すのに時間がかかります。それぞれに腐敗、塩分による脱脂と乾燥の遅さ、弾力ある皮膜が問題となります。洗い過ぎると筆の腰が抜けると良く言いますが、私の経験では洗わないより洗ったほうが10倍も20倍も長持ちします。筆の頭に紐が付いているのは、使用後はよく洗い乾燥させるためです。濃墨をお使いの方で使用後筆を洗わない方はありません。腰を固めたほうが書き易い筆が多いので、そのように言われるのではないかと思います。

青墨は表具すると散るのはなぜですか。

2016年9月26日 月曜日

青墨の煤は茶系の煤に比べ、その粒子の大きさは10~100倍近く大きな物です。そのために濃く使いますと、粒子は紙の繊維の中に浸透せず、紙の表面に乗っている状態になります。固形墨も液体墨も水溶性で、水の中で良く煤が分散できるように造られています。表具するためには、微粒子に分散された煤が紙に良く浸透し、紙の繊維に絡み付き固定されなければなりません。茶系の細かい煤を使った墨でも、造りが悪くて粒子が凝集して分散していたり、宿墨を使った場合には、煤が紙に浸透せず表具時に散ることがあります。青墨の濃い場合は、大きな粒子がさらに凝集して分散していて汚く見えるものです。青墨は淡墨でのみ表具できるとお考えください。青墨はできるだけ鋒鋩の細かい硯をお使いになり、より細かく磨り下ろして戴きますと、表具できる濃さも高くなりますし淡墨における透明感も増します。

表具のとき磨った墨は散らないが、墨液は散ると聞いていますが。

2016年9月26日 月曜日

液体墨の製法には膠を原料にした物と合成糊剤を原料にした物があります。
表具性が悪いのは膠を原料にした液体墨なのです。
合成糊剤を原料にした液体墨は固形墨と同様表具には何ら問題はありません。
膠は固形墨にとりまして理想的な原料で、現在でも膠に代わる原料は見つかりません。先人の知恵に頭が下がります。

しかし固形墨に最も適した膠の性質が、液体墨には最も不適合となるのです。
膠はコラーゲンを含んだゼラチンを主成分とする蛋白質の一種です。
その水溶液は低温になりますとゼリー状に固まります。これをゲル化すると言います。
動物性蛋白質の一種ですから非常に腐敗し易く、一度腐敗しますと強烈な悪臭を発生します。膠の水溶液は加水分解により炭酸ガスと水に分解されます。

膠を液体墨の原料として使う場合は、このゲル化、加水分解、腐敗を止めなければなりません。
肉類の保存をお考え戴きますと解り易いのですが、蛋白質の保存は乾燥・冷凍・塩浸けするしかありません。
乾燥したのが固形墨ですし、塩浸けしたのが膠を原料にした液体墨なのです。
塩分が多く入りますと乾燥が極端に悪くなります。
書きましても塩分はどこにもいかず、紙に残りますので膠の乾燥皮膜形成が阻害されます。

これが表具性の悪い原因です。
書いた紙が乾燥しても全然縮まない時は、膠の塩浸け液体墨とお考え下さい。
表具しない練習用であれば問題ありませんが、表具する場合は塩分が紙に残りますので絶えず湿気を帯び、梅雨時には作品から膠の腐敗臭が出ることがあります。

膠使用の液体墨は淡墨使用が大切で、薄めることにより塩分濃度も下がり膠本来の透明皮膜がよみがえり表具性も良くなります。

ここで少し墨液と言う言葉についてお話ししたいと思います。
皆様もご存じのように昔から墨汁と言う製品がありました。膠を原料に多量の塩分を使って造られておりましたので洋紙には向くのですが、和紙には向かず乾燥も遅い表具のできない物でした。

私共はこの欠点を改良して、塩分を一切使わない、乾燥の早い、表具できる液体墨として開発致しました。
これまでの墨汁と区別するために当社の先代が「墨液」と名づけました。「墨液」とは生まれながらに膠を原料としない合成糊剤を原料とした表具のできる液体墨なのです。

それがいつしか液体墨の総称名となり、墨汁造りの液体墨も墨汁では売れませんから「墨液」と言う名称で販売されるようになり、ご質問の墨液は表具できないということになったのだと思われます。当社の「墨液」と言う名称を使う製品群は、合成糊剤を原料とし固形墨と同等以上の表具性を備えた、一切塩分を使用しない液体墨であります。

宿墨は良いのですか。悪いのですか。墨色の変化についてはどうですか。

2016年9月26日 月曜日

墨屋の立場から申しますと、悪いとしか申し上げようがありません。宿墨とは、固形墨の持つ寿命を水中で数日で終わらせることです。磨り下ろすことにより加水分解は温度にもよりますが、乾燥時とは比較にならないような猛烈なスピ-ドで進み、膠分が急激に減少し、磨墨粒子の凝集も急激に進む状態を宿墨と言います。言い換えれば短時間の内に水中で疑似古墨化をしていることです。急激な加水分解による膠の力の低下は、大きな凝集体を作り易く、濃く使いますと紙に浸透できず、紙の表面に乗っている状態で墨色も汚く、表具性も極端に悪くなります。おおげさに言えば消し炭の粉で書いたような品の無い作品になる恐れがあります。宿墨は水中での疑似古墨化と申しましたが、その進行過程で、淡墨でお使いの場合は、滲みも煤の凝集に合わせてどんどん変化しますので思わぬ表現ができることがあることも事実です。気温の高い夏場は特にご注意下さい。前にも申しましたが、宿墨は冷蔵庫内で夏場は48時間、冬場は72時間を目安にされたらいかがですか。

使用後の残墨(磨墨液)を容器に入れて冷蔵庫にいれて保存していますが、どうでしょうか。

2016年9月26日 月曜日

墨屋の立場から申しますと、悪いとしか申し上げようがありません。宿墨とは、固形墨の持つ寿命を水中で数日で終わらせることです。磨り下ろすことにより加水分解は温度にもよりますが、乾燥時とは比較にならないような猛烈なスピ-ドで進み、膠分が急激に減少し、磨墨粒子の凝集も急激に進む状態を宿墨と言います。言い換えれば短時間の内に水中で疑似古墨化をしていることです。急激な加水分解による膠の力の低下は、大きな凝集体を作り易く、濃く使いますと紙に浸透できず、紙の表面に乗っている状態で墨色も汚く、表具性も極端に悪くなります。おおげさに言えば消し炭の粉で書いたような品の無い作品になる恐れがあります。宿墨は水中での疑似古墨化と申しましたが、その進行過程で、淡墨でお使いの場合は、滲みも煤の凝集に合わせてどんどん変化しますので思わぬ表現ができることがあることも事実です。気温の高い夏場は特にご注意下さい。前にも申しましたが、宿墨は冷蔵庫内で夏場は48時間、冬場は72時間を目安にされたらいかがですか。

墨が黴びたり腐ったりするのはどうしてですか。その使い道はありますか。

2016年9月26日 月曜日

膠はコラーゲンを含むゼラチンを主成分とするタンパク質の一種であります。

qa40

細菌の寒天培養と同じく膠も細菌にとっては理想的な栄養源なのです。乾燥している時はさほどでもありませんが、水溶液に致しますと空気中から細菌を拾い、一夜の内に爆発的に繁殖します。夏場、気温30前後の湿度の高い所に墨をおきますと、墨が空気中の水分を吸収すると共に細菌が侵入し黴びや腐敗の原因になるのです。墨の製造が冬に行われるのは、空気中の細菌の少ないそして細菌の繁殖しにくい低温が大切だからです。高価な墨を細菌の餌にしてはこれ程悔しいことはありません。ご使用後は、磨り口・側面部の水分を良く拭いて、乾燥した所で保存して戴くことが最も大切です。多少の黴びには抵抗力がありますが腐った墨は使用できません。その墨を使いますと筆に細菌が移ります。そして筆を洗わないで次の墨を使いますと磨墨液に侵入し、この液で書かれた作品が梅雨時分に腐敗臭を発することさえあるのです。黴びの生えた墨をお使いの後は必ず筆を洗い、良く乾燥させておいて下さい。膠とは大変なやっかい物ですが、固形墨にとりましてこれ程良い原料は現在でもありません。

古くなってカスカスの墨を使う方法はありますか。

2016年9月26日 月曜日

墨がカスカスになるのは、膠分が加水分解により炭酸ガスと水になり空気中に放出されたためです。その間に煤はどんどん凝集していますので、磨りましても水の中で分散することはできません。色調も膠気が無くなっていますので、濃墨の場合は艶のない絵の具の黒のような吸収色になります。実はこの墨が日本画で人物の頭髪を書く時に必要なのです。膠気の抜けた墨は簡単に見つかりませんので、普通は墨に胡粉を加え墨の艶を消して使うのですが、やはり白っぽさは目につきます。カスカスの墨に少し膠を足して使いますと思わぬ効果が期待できます。書に使う場合は水に日本画用の膠液を少し混ぜ、この薄い膠液で磨墨して淡墨で書きますと、筆跡には古墨の凝集が見られ、滲みは透明感のある明るいものになりますので、立体感のある思わぬ表現ができることがあります。鋒鋩の細かい硯を使い、力を入れないでトロトロになるまで濃く磨り下ろしてから希釈するのが大切です。水温も20以上あることが必要です。膠液の濃さはその古墨が持つ膠の残量とも関係しますので、色々お試し下さい。