墨・書道用品Q&A

墨のQ&A

Q

電動墨磨機の墨色について。

A

数多くの墨磨機が販売されておりますが、全機種を試したことがありませんので当社の機械について申し上げます。

良い磨墨液を得るための条件は手磨りも機械磨りも同じです。

過度の荷重をかけないこと、墨が水の中に浸かったままになっていないことです。

磨る時に墨が1cm近く水の中に浸かっている状態で磨りますと、墨がどんどん水を吸い膨張致します。

膨張して柔らかくなった墨を磨りましても溶解しているようなもので、均一な分散は得られません。

墨の劣化・腐敗の大きな原因になりますし、後の処置を誤りますと墨その物を駄目にしてしまいます。

私は墨屋に生まれましたので、毎日墨を磨らねばなりません。それも多い時には数十挺に及びますので大変な重労働です。

この重労働を少しでも緩和したいために作りましたのが現在の当社の墨磨機です。

その特徴は硯板が斜めにセットされています。

その傾斜の半分まで水を入れることにより、墨は過度に水に浸かりません。

また傾斜させて回転させることにより固定された墨の硯にたいする接点は面から点に変わります。

荷重は手磨りよりも少なくてすみますし、墨に上下運動が加わりますので水に浸かる時間は半減され、手磨りに近い複雑な磨り方になります。

機械ですから手磨りのように自然な荷重の変化を加えることはできませんが、一定した粒子分布の淡墨にご使用戴ける磨墨液が得られます。

墨は硯の鋒鋩が作り出す分散液でありますから、硯板を変えることにより様々な磨墨液を作り出すことができます。

合成硯板は天然硯より少し粗いのですが、磨墨時間は短くてすみますし、普通の濃さ以上でお使いの場合は墨色に何ら問題はありません。

淡墨の美しい滲みを大切にされる場合は、磨墨時間は倍程度掛りますが、鋒鋩の細かい天然硯板(坑仔岩)をお使い下さい。

最近滲みの強すぎる紙をよく見かけますが、淡墨で筆跡も残らない分散の強い紙には、合成硯板のような鋒鋩の少し粗い物が良く合います。

当社の合成硯板は宋坑の鋒鋩に良く似たもので、濃墨でお使いの時には便利なものです。

 墨磨機の上手な使い方。

手磨りも機械磨りも同じです。 2O以上の水温でトロトロになるまで濃く磨って戴くことです。

それ以外に大切なことは、磨墨時に墨を過度に長い時間水に浸けないこと、浸けなくて済むような機構の機械が扱い上便利です。