墨・和文具のお話し (墨1)
■墨の大きさと形
日本の墨は十五グラム(四匁)を一丁型とし、この倍数によって二丁、三丁、五丁型と大きくな
ります。中国の墨は一丁型は六百グラム(一斤)を基準としているため、一/二、一/四から最小
は一/六四まであり、数字が大きくなるほど形は小さくなります。墨の形は一般的に長方形が実用
向きですが、長い歴史なかで多種多様な形式が考えだされ、今でも変形墨として残っています。
現在でも変形墨は先生方の題字墨、記念墨として製造しています。
![墨の大きさと形](../images/story/image01.jpg)
■膠(にかわ)で変わる墨の特長
理想の表現に合った墨選びのために、墨運堂は固形墨の膠の量を表記しています。
![※膠量が減るほど筆運びが軽くなり、黒が強く表現できます。※膠量が増えるほど、濃墨では黒味は減ります。※淡墨づかいでは、色が冴えてニジミもきれいになります。※膠墨の特長は、原料(牛、鹿、魚など) や精製の方法で変化します。](../images/story/image02.jpg)
■膠の量と墨の種類
![【墨運堂は固形墨に膠量を表記しています】](../images/story/image03.jpg)
![45](../images/story/image04.jpg)
均質で流動性の良い膠を使うと、膠量が少なくなるほど基線の黒をよりしっかり表現できます。
![60](../images/story/image05.jpg)
均質で流動性の良い膠を使うと、膠量が少なくても基線の黒をはっきり表現できます。
![90](../images/story/image06.jpg)
膠量が多いため、ニジミは十分にでるが、基線の強さが減る傾向です。
※基線とは、筆が通った跡(芯)のことです。
※水9ccに墨1gを磨り込み、10%の磨墨液をつくり、20ccの水で希釈した淡墨で比較しました。