墨の歴史 中国編
明 時代
◆清 時代
この時代は、明時代の流れを受け康煕年代としては、朱一涵、汪美中・呉叔大・呉鴻漸・程鳳池・葉柏叟などが、『雪堂墨品』に記録きれています。
明墨を代表する曹氏は康煕末から雍正にかけて名を出すようになります。
曹素功は、明末の名墨士の呉叔大の遺業を継承して「紫玉光」などの代表墨を作ったことで知られています。
乾隆時代になると、乾隆帝の文化政策から製墨業は一段と盛んとなり中でも乾隆御墨は、明墨とは別趣の味わいを持って人気の的となり、その中心をなしたのが汪近聖であります。
乾隆帝は、文墨趣味が高く製墨業を手厚く保護しました。この時代の代表的墨匠としては、曹素功・汪近聖・汪節庵・胡開文・詹氏などがあげられます。
◆中華民国
中華民国以後は、曹素功と胡開文が市場を占有していましたが、1949年中華人民共和国成立後は政府によって解放が行われた。
曹素功・胡開文の店は公私合営となり、上海墨廠の名の下に生産されたが、文化大革命の嵐が過ぎ、その後の解放経済の発展により普通の曹素功・胡開文の名前で生産が復活した。
しかし、それぞれ一社ではなく、数店が同一名を刻して生産しているのが現状です。
「The 墨」 松井茂雄著(前墨運堂社長) 日貿出版社 より